観終わったときの抜け殻感がハンパない。
モンテル・ティルドゥム監督のクライム系サスペンスミステリースリラー。もうごった煮のなんでもアリ。ジャンル分け不能。しかし全体をふんわり包む『抜け感』とシリアスのバランスが心地いい。最初はドイツ映画?と思ったけど、まさかのノルウェーとは。ザ・ウェイブ、ザ・クエストともに映像に圧倒されたし、北欧系映画、侮れません。
低身長のさえない風ぼうながら、優秀な人材を引き抜く敏腕ヘッドハンターとして名をはせ、誰もがうらやむような美女と暮らしているロジャー(アクセル・ヘニー)。しかし、彼女との豪勢な暮らしを続けるために、美術品を盗んでは生活資金へと変えていた。そんな折り、ロジャーは電子機器の分野で成功を収めた元エリート軍人のクラス(ニコライ・コスター=ワルドー)と知り合う。その高価な絵画コレクションの存在をつかんだ彼は、最後の大仕事としてクラスの屋敷に忍び込んでいく。だが、そこで人生最大最悪のトラブルに遭遇し……。
ヘッドハンター (2012):あらすじ・キャスト・動画など作品情報|シネマトゥデイ
いやぁー、参ったね。参りました。降参。侮れないどころじゃない。ハリウッド、ボリウッド、中国系、北欧系。経済的な勢いと娯楽というのは直結してるのかもしれないね。日本のゲーム、映画、エンタメっていうのは、もう日本の中でしか通用しないもんなんだなと改めて思わされましたよ。ゲームは2000年前後がピーク、映画はクロサワでピーク、エンタメは風雲たけし城でピーク。はあ・・・古き良きニッポンか。
主人公、最初はヤな奴なんすよ。それがね、見てるうちに応援したくなるの。愛人とくっついてさ、さっさと奥さんと別れてやれよ、と。奥さんも早く男作ってさ、子供できて幸せな家庭築こうよ、と。それなのにねえ、どうしてヤな奴の肩をもってしまうんだ!あんな最低なクソ野郎!!そう思ったのに、最後に気付いたのはあのヤな奴は自分なんだということ。誰もが持つ妬みや恨み、それが人間らしくもあり、どうしても憎めないチャームポイントになりやがったわけで。最後の惨めな姿といったら・・・。あそこで生まれ変わったという演出だよね。わかる。わかるよ。
自己完結すいません。見終わったあと、なぜかカミソリを頭に当ててる自分がいました。そんくらいのインパクト。衝撃。そして衝動。見始めは画面から5メートル以上離れて足を伸ばしてたのに、中盤からは1.5メートルの距離で正座よ。呼吸すら忘れるテンポと展開。予想すら許さない。監督が天才なのか、脚本が良すぎるのか、原作がとんでもない化け物か。どれもあり得るけど、監督が良いのは間違いない。Amazon版ジャックライアン1話の監督でもあるもんね。あの1話は他のエピソードとは明らかに見応えが違う。
2022年ナンバーワン。言い過ぎじゃないぜッ!