ダージリン急行

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すべてから解放されたい欲求と果てしない物欲の狭間で。

オーウェン・ウィルソン、エイドリアン・ブロディ、ジェイソン・シュワルツマン共演のロードムービー。主演はいないにしても、このメンツじゃどうしてもエイドリアン・ブロディが際立ってしまう。体の線は細いんだけどあの存在感。これが華ってやつなのか。

長男フランシス、次男ピーター、三男ジャックのホイットマン3兄弟。彼らはフランシスの提案で、インド北西部を走るダージリン急行に乗り合わせた。旅の目的は、父の死をきっかけに1年ものあいだ絶交状態にあった兄弟の結束を再び取り戻すこと。バイク事故で瀕死の重傷を負い、奇跡の生還を果たしたばかりのフランシス。兄弟から父の遺品を独り占めしたと非難され、妊娠7ヵ月の妻アリスとも上手くいっていないピーター。そして、家族をネタに小説を書き上げたばかりのジャックは、失恋の痛手を引きずっていた。それぞれに問題を抱える3兄弟は、早々に衝突してしまうが…。

なんていうかな、切り取った感じの映画なんだよね。登場人物のバックグラウンドも関連性も一切合切わからないまま、まるでこの3人の人生の一区切りをそのまま映画にしたような作品。だから観てるこっちもありのままを受け入れる。ああやればいいのに、こうなったらよかったのにっていう雑感もなし。出された料理をそのまま頂く感じ。

けれど、それは映画が面白いっていう話とは別問題なんだよね。きっと大多数の人にとっては面白くもないともない映画なんだよ。もとより、そういう(=面白くもなんともない)つもりで製作したんだろうし。監督もね。きっとロードムービー系の作品って、大体この方向性だよね。おれが作りたかったものを作ったった! みたいな感じ。

その普通のロードムービーよりも好きなところがこの映画にはある。それは登場人物が変な一人語りをしないところ。・・・記憶があやふやになりかけだけど、たぶんなかったと思う。ああいう解説的なナレーターはロードムービーには合わない。

観終わったあとは、スッキリするよ。ここ2,3年でよく聞くようになった断捨離的なスッキリ感。なにもかもを捨ててどっか遠くに行きたい衝動。太陽が出てる昼下がりが絶妙な鑑賞時間。小粒ながら良い映画でした。

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